「ピラカタノート」河川敷の回想を、

今日、永らく探していたニットキャップシアター「ピラカタノート」淀川・河川敷での写真を見つける事ができました。
ぼーっと眺めていると、ふつふつと思い出す。思い出す。
「あー、こんな事やったなー」ではなく、
「あー、確かにここに居たなー」という思いが浮かぶ。

記憶とは、とても不思議なものだと思います。
ひとは、何かを見たら、感じたら、それをきっと忘れないものなのです。

僕の場合、舞台を通して感じたものは、音とともに甦ります。
永い時間が過ぎ去ってから、ふと過去の公演で流した音楽を聴くとき、背筋から後頭部にかけて、ぴりぴりとした感情が走るのです。
その時の感情や、共演者の声、肌に触れた空気などなど、色んな知覚を追体験します。

しばらくすると、わりといつも同じ感想。
「あー、辛かったのか。」
きっと本番では、そんな思いを感じているいとまがないのですね。
だって最後の稽古、図面修正、運搬、搬入、仕込み、サウンドチェック、場当たり、ゲネプロ、本番、トラブル対応、本番、本番、バラシ、運搬、荷返し。
時間がみっちり詰まっていて、そこにはわりと隙間がありません。

その時ゆっくり感じていたら、つい立ち留ってしまう事。だからこうして、随分後になってから思い出すのでしょう。
記憶は、きっと思い出すために、忘れないでいるものなのでしょう。

この河川敷でのパフォーマンスはとても不思議な時間でした。
普段の記憶といろいろ違う。
きっと劇場のように壁がなく、天井がなく、そしてそこに風があったのですね。

陽は刻々とかたむいて、やがてむずかりもせず暮れてゆくし。

けれど、これらの記憶を懐かしまずに済むのは、もう次に向かって走り出しているから。
ニットキャップシアター 第32回公演「strange」もうすぐ稽古が始まります。いえ、すでに劇団のみんなは狂ったように奔走しています。
さーがんばろー!

もう去年の夏のことかと思ったら、いえいえ今年の初夏のことでした。
京阪という電車を駆って、はるばる足を運んでくださったみなさま、本当にありがとうございました。

あ、これは音響のブログなので、電源なし(電池を使いました)、ケーブルなしで行ったこのパフォーマンスの音響設備については、こちらの記事をご覧ください。

[CueZyは、電源なし、ケーブルなしでも大活躍します。]
http://d.hatena.ne.jp/cuezy/20120922/1348316796