CueZyは、稽古場うまれの、劇場そだち。

今日はニットキャップシアター #32 「Strange」の稽古場に行ってきました。
京都を拠点に活動をつづける劇団で、ぼくがもう十年以上にわたって関わっている、とても大切な集団です。

板張りの廊下から、そっと扉を開けて部屋の中にはいる。するとその瞬間、肌にピリリっとした何かがはしります。張りつめた沈黙の中に、ふと一くさりの台詞がこぼれる。すると石のように蹲(うずくま)っていた役者たちが、突如として一斉に、滝のようにうねりだす。
しなやかな緊張感の張りつめる中、空間を超え、時間を超え、さまざまに躍動(やくどう)する役者の肉体。そして紡がれるは幽遠なる物語。

小屋入りまで二週間をきったその稽古場は、右を向いても左を向いても、役者たちの真剣なまなざしにぶつかる、まさに創造の最前線でした。


本当に真剣なシーンは、写真もなかなか撮れません。これは試行錯誤のひとコマ。

飽くなき熱情を傾けて、汗と、涙と、だじゃれによって鍛えられてゆくお芝居。そこに音響としてなんとか食いついていきたい。彼らとともに何としても一つの舞台を練り上げたい。CueZyはそんな創作現場の片隅の、音響さんの願いから生まれました。

膨大な候補曲の中からの選曲作業。また、とてもタイミングの難しい効果音の再生。慣れないとむつかしい音楽のフェードイン、フェードアウトなどなど。あなたのiPhoneに、音楽とCueZyさえ入れておけば、すべてが思いのままに操れてしまいます。

そして。

稽古があるという事は、もちろんその先に、そうです本番がやってくるのです。
CueZyが稽古場で生まれたアプリだとしたら、育つのは劇場、つまり舞台の本番を通してですね。


ニットキャップシアター「ピラカタ・ノート」京都公演の仕込み現場より。

CueZyはiPhone/iPad/iPod touch用のアプリですから、もうそれだけで音楽が再生できます。
MDデッキがなくても、PCとオーディオインターフェースがなくても、いいえミキサーさえなくても、それだけで音楽の再生やボリュームの調節が出来てしまいます。
システムが組み上がる前のサウンドチェックで、役者の返し稽古のすぐそばで、そしてなにより本番で。
CueZyは音響の現場のなかで、さまざまな意見に出会いながら、日々成長を続けています。

開発チームの次の現場は、

ニットキャップシアター #32「Strange」http://knitcap.jp/32nd/
【京都】@アトリエ劇研 - 2012.12/13(木) 〜 18(火)
【東京】@ザ・スズナリ - 2013.2/1(金) 〜 3(日)

です。
終演後など、もし三橋をお呼びくだされば、CueZyについてどんな質問にでもお答えできますよ。
アプリと合わせて、よろしくお願いいたします。


おまけ。

劇場ちかくの駅前で、頬あからめて待ち合わせ。
「もーStrange前って、沢山あるから迷っちゃったよー。」
そんな小さな思い出の、ニットキャップシアター「Strange」#strange32